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  34号 [2004年2月01日]
 
知恵を生み、知恵を磨く
愛知支部長(刈谷市立刈谷南中学校長)杉 浦 泰 彦
 

 学校はもうすぐ平成16年度を迎えます。
 会員の皆様におかれましては、15年度のまとめをしながら新年度への希望と夢を大きく膨らませてみえることと思います。
 今年度は、新学習指導要領実施の2年目として、初年度に築いた土台の上に骨格を造り上げる年でありました。ただいまは最後の柱の1本のボルトを締めかかっているところだと思います。早くも2年目にして指導要領は部分改訂されますが、本筋は変わりませんので、骨組みを作り直す必要はありません。ここ2年間の取り組みに自信をもって進みたいと思います。
 さて、愛知支部は今年度も多くの成果を上げることができました。第一は、第3回子ども科学教育プログラムには愛知の17校と1グループが入賞するという成果を収めました。おしくも入賞をされなかった学校においても「方向性はすばらしい、来年度が期待される」との評価を聞いています。こうしたことは科学教育研究会愛知支部の誇りであります。これも会員の皆様がそれぞれの学校で中核となり、また先導者となり活躍されている結果であり敬意を表します。第二は夏山小学校の発表会です。夏山小学校がすばらしい発表をされたことは勿論でありますが、夏山小の成果を自らのものにしようと発表会には支部会員の多くが参加されたことです。こうした切磋琢磨し高めあう「愛知支部会員の空気」がすばらしいと思います。研修の機会を与えていただいた夏山小に感謝申し上げます。第三は、愛知支部特別研修会および福井、滋賀の研修会に多くの会員に参加していただけたこと等です。多くの成果に乾杯です。

 私たちは「科学が好きな子どもを育てる」をテーマとして取り組んでいます。育て方、育てる方法は多種多様です。私は、中でも一番大切にしたいのは「授業をいかに創るか」だと考えています。
 授業創りも観点・視点の異なる多種多様な論があります。その中でも私は大切にしたいと考えていることが三つあります。その第一は「論語読みの論語知らず」の子どもを育てることにならない授業、論語を読みたい意欲が起き、読むほどに理解が深まり、態度化がなされていく授業でありたい。第二に、教えるべきことを教え、教師が自らの役割をきちっと果たす授業。「こんなことも教えられていないのか」とか「活動はあったが今日の授業で子どもは何を身に付けたのか」と感じる事がある。子どものニーズを大切にしながら、発達課題を適切に捉えた指導や次の段階への土台となることをきちっと授ける授業でありたい。第三は子どもの認識の段階を踏まえたい。概念は瞬時に形成されるものではなく、低次なものから高次なものへと次第に広がり、深まり、高まっていくものであると思う。この段階を十分意識した「子どもの分かり方に即した」授業でありたい。こうした授業により、子どもの出来る・分かるという充実感・効力観・有能観は、「得意になる・ますます好きになる」状態を醸成していくものと考えています。子どもが主体的に知恵を生み、磨いていく授業を創造したいものだと思います。

 

入選プロジェクト校
・刈谷南中小学校(刈谷市)
 
優秀プロジェクト園
・六ツ美西部小学校(岡崎市) ・富士松北小学校(刈谷市)
・治郎丸中学校(稲沢市) ・逢妻中学校(豊田市)
・西尾中学校(西尾市)  
 
努力校
・小坂小学校(名古屋市) ・中野小学校(豊橋市)
・小垣江東小学校(刈谷市) ・小垣江小学校(刈谷市)
・住吉小学校(刈谷市) ・鳳来中学校(鳳来町)
・富士松中学校 (刈谷市) ・刈谷東中学校(刈谷市)
・東海中学校(岡崎市) ・南中学校(岡崎市)
 [3校合同応募]  
・福地南部小学校(西尾市) ・福地北部小学校(西尾市)
・福地中学校 (西尾市)  
 

 
入選プロジェクト校の紹介
 

科学が好きな生徒を育てる 刈南プロジェクトU

刈谷市立刈谷南中学校
 私たちは、科学が好きな生徒を「自然の事物・現象に興味を持ち、進んで追究し、自然の奥に潜むすばらしさを感じ取ることができる生徒」と定めた。そして昨年度の「科学が好きな生徒を育てる刈南プロジェクトT」では、「自然との関わりの重視」「人(友達、専門家等)との関わりの重視」「問題解決を豊かにする環境の整備」の3つをキーワードとして実践を行った。
 今回のプロジェクトUでは、目指す生徒像に迫るためにより細かく設定された6つのストラテジー(戦略)を立てた。
  1. おや、不思議だ、なぜだろうという問いを育て る。(興味・関心・意欲の重視)
  2. 科学の方法を身につける。(探究のプロセススキルの育成)
  3. じっくり観る目を養う。(実験・観察等、直接 体験の重視)
  4. 論理的に発表しあい、互いに高め合う。(情報 収集・処理能力の育成)
  5. 個々のこだわりを生かす。(個別追究の重視)
  6. 追究意欲を奮い起こし、追究を支援する環境を 整える。(問題追究を豊かにする学校環境・人的 環境の整備)
 そして、この6つのストラテジーを理科授業を中心とした教育活動の中で、さらに具現化した手立てを講じることにより、目指す生徒像に迫ろうと考えている。
 今年の10月に本校で「授業研究会」を開催する予定です。ぜひ、多くの方にご来校いただき、ご指導いただければと思っております。

 
奨励プロジェクト校の紹介
 
自ら学び、いきいきと活動する子の育成
岡崎市立六ツ美西部小学校
 本校は、本年度開校7年目を迎えた。開校以来、「地域に開かれた学校」を合言葉に、保護者や地域の人に参加・参画していただきながら、地域と一体となった教育活動を展開している。本校では、子どもたちの「ふしぎ」を大切に、科学好きな子を育てようと「自然ランド」(ビオトープ)をつくった。子どもたちは、少なくなった地域の自然や生き物と触れ合うことで、植物の四季の移り変わりや生き物の成長を、進んで観察したり調べたりすることで、科学の面白さに気付いてきている。
 本校は、科学好きな子の育成を目指し、2年前から全校アンケートを実施している。これまでの実践の反省を踏まえ、次年度は、本校の柱である地域の人たちの協力をベースに、“なのはなサイエンスプロジェクト”と題し、「自然」「ものづくり」「実験」を3本柱にして、「アイ ラブ サイエンス」と言えるような子を育てていきたいと考えた。
  • 低学年…生活科を軸に、自然の中での遊びや植物 の生長の様子を観察しながら、自然の面白さを味 わわせる。
  • 中学年…生物とのかかわりを通して、地域の自  然の様子や環境について地域の人たちとともに考 えていく。
  • 高学年…「ものづくり」や「実験」を行う時間を 十分に確保し、科学的な見方を育成する。
 また、科学好きな子どもを育てようと、地域でも「なのはないっぱい活動」「親子わくわく星空教室」「親子たこあげ大会」などが計画されている。子ども一人一人が「アイ ラブ サイエンス」と言えるように、魅力ある計画を立て、実践していきたい。

 

「科学が好きな子どもを育てる ふじきたプロジェクト」
〜自然のすばらしさを体感し、
自然と共に生きる環境を創造する子どもの育成〜
刈谷市立富士松北小学校
 本校の東側に「北っ子の森」と呼ばれる雑木林がある。昔は、里山であったが、しばらくの間手入れされずにいたため、竹が繁茂し竹林化してしまった。森の中は、暗くなりやぶ蚊がたくさん発生し、子どもたちも近寄りがたい森であった。そこで、4年前から、子どもたちが進んで森の中で遊べ、自然に浸る環境を作りたいと北っ子の森を整備し始めた。
 本年度には、里山としての雑木林が蘇りつつあり、この北っ子の森の環境を生かして、科学が好きな子どもを育てていきたいと考えた。めざす子ども像を次のように設定した。
  1. 自然に浸る体験の中から、多くの気づきや疑問、 感動を持つことができる子。
  2. 自ら抱いた問題を解決したり、自らの夢を実現す るために創意工夫し、ねばり強く追究する子。
  3. 自らの達成感や喜びを、人に伝え多くの子と意見 交換ができる子。
 そして、子どもたちが北っ子の森に、興味関心をもって関われる環境をつくること、その中で自然に浸らせ、自然の不思議さやすばらしさを感じとらせること、問題を解決する力を養わせること、活動の成果を情報発信させることの4つの柱を中心に実践することにした。
  平成16年度の教育計画
1 北っ子の森から学ぶ子どもたち 
里山づくり、ネイチャーゲーム、北っ子の森充実計画(椎茸栽培体験、岩ヶ池を舞台にした環境学 習、学習広場、古代の生活を体験)
2 北っ子を育てる活動
 ・竹炭の配布 
 ・ヘビ島に渡れるぞ
 ・自然保護運動
 ・博士タイム・実験タイム
 ・情報発信。

 

めざせ「じろまる博士」じろまるふるさと園構想
稲沢市立治郎丸中学校
 科学が好きな生徒を育てるには,自然の事物,現象についての美しさやすばらしさ,驚きを体感させる自然体験が大切である。
 インパクトのある自然体験との出会いが学習意欲を高め,その後の探究活動を充実させる。そして,学ぶ楽しさ,充実感を味わい,
確かな知識を得る。その積み上げが,自分の自信となり,科学が好きになっていくと考える。
 自然体験の場として,自然観察園「じろまるふるさと園」をつくり,その活用の充実,第2のじろまるふるさと園づくりなどの構想を練り,実践した。
 実践からの課題をふまえ,16年度は「自然体験を重視した学習」「響き合い,深め合って問題解決に取り組む授業の流れ」を柱とした「じろまるふるさと園構想」に,「個に応じた学習指導の工夫」という柱を加えることにした。そして,一人一人が生活している,じろまるを基盤に追究したり,発展させていく科学好きな「じろまる博士」になることを願い,次のような教育計画を立てた。
  1. 自然体験の場の充実
  2. 響き合う段階の重視
  3. 認知スタイルを生かした授業
  4. 有意味受容学習の導入
  5. 地域の人々との交流,親子自然教室の設定
  6. 生活や地域に生かす場の設定
  7. 野生メダカ再生プロジェクト
  8. 稲沢市の生物マップづくり
 今後も,この計画をもとに,科学好きな「じろまる博士」を育てていきたい。

 

学ぶ喜び」を創造する 「授業の最適化」プラン
豊田市立逢妻中学校
 昨年度に引き続き,奨励プロジェクト校連続受賞。
 昨年度までの実践の柱であった演繹的教授法である「有意味受容学習」を発展させ,さらに,帰納的教授法や仮説演繹的な教授法,発展・補充型の学習とも組み合わせて単元・授業づくりを行う「授業の最適化プラン」を提案した。それらの教授法を,本校で生徒にも分かりやすいように次のように名付けて実践を進めている。
  1. 予想学習・・・仮説設定型の問題解決学習(仮説演繹)
  2. 発見学習・・・発見学習型の問題解決学習(帰納)
  3. 確かめ学習・・有意味受容学習型の問題解決学習(演繹)
  4. マイプラン学習・・発展的・補充的学習(個別の課題を設定する学習)
また,本校は,学力向上フロンティアスクールとして,他教科との連携も図りながら,理科では「分かるからおもしろい」授業を展開している。 詳しくは以下のホームページを参照されたい。
逢妻中学校→http://www.hm2.aitai.ne.jp/~r89toyot/index.html
豊田自主研→http://www.hm4.aitai.ne.jp/~yagiyagi/index.html

 

問題解決的学習過程を通して拓く 子どもたちの科学の世界
西尾市立西尾中学校
 科学への好奇心を高める事象に出会わせ、問題解決にねばり強く取り組む過程で、科学する能力や態度を身につけていく子どもの育成を目指し、「西中サイエンス ワールド プロジェクト」を立ち上げる。
 授業では、年間カリキュラムを見直し、問題解決的学習を柱にした単元(1年「空気の秘密大発見」3年「Wonder Erath」《天体学習》など)を開発していく。また、単元の導入時などに自由試行的なミニ実験の時間を確保することで、生徒が確かな見通しをもって問題を解決していけるようにする。
 選択理科では、各講座の内容に精通した方(プロの講師:大学教授、国土交通省職員、企業の技術者など)をお招きし、ご指導を受けることで、科学的な見方や考え方を高めていく。
 授業以外では、参加希望の生徒を対象にして、「サイエンス スクール プログラム(ものづくり教室)」を開催する。この教室では、水電池、簡易環境調査セット、7色キャンドルなど、ものづくりを通して科学のおもしろさを味わい創造力の向上を図っていく。
 また、科学部の活動では、日本科学未来館主催の木炭電池カーレースへの出場を目指して研究に取り組むなかで、より速く走らせるための工夫や実験技術の向上に力を注いでいく。
 以上の活動を支えるために、子どもたちの「あれ?」「なぜ?」というおもいを育む環境づくりにも取り組む。そして、科学する喜びを味わわせ、科学の好きな子どもを育ていく。

 
リーダーセミナーに参加して
 
刈谷市立朝日中学校 服部 健也

 台風の中昨年に引き続き、リーダーセミナーに参加させていただき、大変勉強になった3日間を過ごさせていただきました。
 今年で2年目ということもあり、今回は、昨年度行った実践を持ち寄り、班でまとめる時間を多くとっていただき、充実した内容の研修会でした。また、同じ班だけでなく、他の中学校の班とも話し合う時間を多く持ち、情報交換を活発に行うことができました。参加者全員が昨年と同じで、顔をよく知っているということもあり、理科教育以外のさまざまな話題でも盛り上がりました。
 最後に行われた班別の発表会では、どの班の発表の内容も素晴らしいもので、リーダーセミナーの深まりを感じました。また、発表内容に対する先生方の質問や意見も積極的で、ここに集まった先生方の熱意を感じました。
 講師の先生から助言をいただく時間が少なく、ご指導をあまり受けることができなかったことが残念でしたが、全国から集まった先生方と意気投合し、とても楽しく、有意義な3日間になりました。このような機会をいただけたことを心より感謝しています。


 
ブロック研修会
 
<岡崎> 実験実技講習会
1)開催日  平成15年8月1日(金)
2)会 場  岡崎市立六名小学校
3)研修の内容
 岡崎ブロック研修会は、これまで歴史的に長く続いている第40回岡崎市夏季理科実験実技講習会と兼ねて開催しました。
 研修内容は、理科授業の進め方や基礎的な実験・実技の研修で、学校の理科授業に直接役立つ内容で研修会を進めました。講師は、岡崎市理科指導員並びに極めて高い実践研究を積み上げている中堅教員の6名の先生に依頼し、基礎的な実験技能からユニーク教材の紹介など、たいへん有意義な研修になりました。
 また、当日は、真夏とはいえ比較的涼しい気候の中、約80名の参加者が熱心に研修を行い、時の経つのを忘れるほどでした。参加者の感想として、2学期からの理科の授業にすぐ活用できる研修内容で、大変勉強になったという声が寄せられました。

 
<刈谷> 授業研究会
1)開催日  平成15年6月9日(月)
2)会 場  刈谷市立雁が音中学校
3)研修の内容
 はじめに、中学1年生の理科「音の性質を調べよう」の研究授業を参観しました。杉田先生は、音入りと音なしのCDを準備し、生徒たちは、「なぜ蓄音機から音が出るのか」を追究していきました。
 その後、大阪教育大学の松本勝信先生による講演を聞きました。研究授業のことを含めて、「これからの理科教育で、理科が好きな子を育てる意義とその育て方」というテーマで、具体的な例を交えながら、分かりやすく話をしてくださいました。
 文部科学省の調査結果を出しながら「理科が好きになると、本当に学力がつく」と言われました。そして、見える学力(技能、知識)と見えにくい知識(関心意欲、思考)について話をし、見えにくい学力をどう身につけさせるのか、熱っぽく話されました。
 理科教育をどんな考えで、どう進めていったらよいか、改めて考えることができました。理科が好きな子を育てるように、日々の授業を大事にしながら意欲を高めていきたいと思います。

 
<西尾> おもしろ科学実験教室
1)開催日  平成15年9月5日(金)
2)会 場  西尾市立福地南部小学校
3)研修の内容
 本年度、当ブロックでは、サタデープランとして「めざせ、ノーベル賞!おもしろ科学実験教室」を年7回、開催の予定をした。その第1回を6月、西尾小で元ソニー教育財団主幹田中義郎先生をお招きして行った。そして、第2回〜7回の教室を我々だけで行うために、指導者育成をねらいとしたブロック研修会を9月に開催した。
 講師の柴田幸夫先生(当支部事務次長;西尾小)の指導のもと、支部会員を中心に20名ほどの者が、研修した。メーンとなる教材は「水電池」であり、それを実際の科学実験室で、子どもたちにどう投げかけるか、流し方の周知や材料準備を行った。
 材料準備では、極板となる銅板と亜鉛びき板、数千枚にリード線をハンダ付け経験のない教員もいてそれ自体が研修にもなった。その後、その極を使い水電池を作り「オルゴール」を鳴らし、童心に返った。
 現在、科学実験室は7回終了し、各回とも定員いっぱいの子たちが参加してくれた。一人でも多くの科学好きな子が育ってくれるこ
とを祈っている。

 
   
   

     
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